なぜ評価制度を変えても、現場は何も変わらないのか
「評価制度は、ちゃんと変えたんですけどね」
制度改定から数か月。等級を見直し、評価項目を整理し、説明会も実施した。
それでも現場の行動は変わらない。挑戦は増えないし、会話の質も変わらない。残るのは、静かな違和感だけ。
この現象は、珍しくありません。そしてこの問題も、制度の出来が悪いからではありません。
評価制度が機能しない理由は、ほぼ例外なく構造の問題です。
経営の現場を見ていると、「評価が行動につながらない組織」は、だいたい次の3パターンに収束します。
CONTENTS
パターン①:評価対象の「行動」が定義されていない
最も多いのが、このケースです。
評価項目には、こんな言葉が並びます。
- 主体性
- 当事者意識
- 成長意欲
- チーム貢献
言葉としては、どれも正しい。しかし、行動に翻訳されていない。
- 何をすると「主体的」なのか
- どんな振る舞いが評価につながるのか
- 何をやめるとマイナスになるのか
これが定義されないまま評価だけが行われる。
結果、現場はこう理解します。
「結局、上司の印象次第だ」
この瞬間、評価制度は制度ではなくなります。これは評価ではなく、印象管理ゲームです。
パターン②:評価と意思決定が接続されていない
次に多いのが、この断絶型です。
評価は行われます。面談もあります。フィードバックも返されます。
しかし――
- 配置は変わらない
- 任される仕事も変わらない
- 権限も裁量も増えない
つまり、評価結果が経営判断に一切反映されていない。
この状態で現場が学ぶことは、極めてシンプルです。
「評価は儀式で、仕事は別物」
どれだけ高く評価されても、どれだけ低く評価されても、現実が変わらない。
これは制度設計の問題ではありません。評価と意思決定が切断されている構造の問題です。
パターン③:評価者が「何の代表者」か分からない
三つ目は、やや見えにくい構造です。
評価者(上司)は、何を基準に評価しているのか。
- 会社の方針なのか
- 部署の事情なのか
- 自分の美学なのか
- その場の空気なのか
これが曖昧なまま評価が行われると、評価はこう受け取られます。
「誰の価値観で判断されているのか分からない」
評価者が会社の代弁者なのか、個人の上司なのか、その立場が定義されていない。
結果、評価は納得も反発も生まない。ただ、消化されるだけになります。
評価制度が悪いのではなく、「前提構造」が壊れている
ここまでの3パターンに共通しているのは、誰かが怠けているわけでも、能力が足りないわけでもない、という点です。
- 行動が定義されていない
- 評価が意思決定につながらない
- 評価者の立場が不明確
このどれか一つでも欠けていれば、評価制度は「変えても何も起きない装置」になります。
多くの組織では、「評価制度をどう変えるか」が議論されます。
しかし本当は、どの構造で評価が止まっているのかが、まだ特定されていないだけです。
評価制度が機能していないのか。それとも、評価以前の構造が壊れているのか。
どのパターンに該当しているかを特定しない限り、制度を何度変えても、現場は静かなままです。
御社の評価は、どの構造で止まっているでしょうか。一度、現状を整理してみる必要があるかもしれません。
組織の構造的問題について、現状を整理してみませんか。