その会議、意思決定が一つも生まれていない理由
「今日の会議、何が決まりましたか?」
この問いに即答できない会議は、少なくありません。1時間話した。全員集まった。議事録も残っている。それでも、何も決まっていない。
この問題は、参加者の意識が低いからでも、ファシリテーションが下手だからでもありません。ほぼ例外なく、会議の設計構造に原因があります。
会議の現場を見ていると、「意思決定が生まれない会議」は、だいたい次の3つの理由に収束します。
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理由①:その会議で「何を決めるか」が定義されていない
最も多いのが、このケースです。
会議の目的が、こんな言葉で設定されています。
- 情報共有
- 認識合わせ
- 意見交換
これ自体が悪いわけではありません。ただし、ここに意思決定は含まれていません。
「今日は何を決める会議なのか」
「決まったら何が変わるのか」
この2点が定義されていないまま会議が始まると、議論は必ず拡散します。各自が自分の関心事を話し、時間切れで終了する。
結果、参加者の頭にはこう残ります。
「いろいろ話したけど、次に何をすればいいかは分からない」
これは進行の問題ではなく、目的未定義という構造問題です。
理由②:決める権限を持つ人が、場にいない(または曖昧)
次に多いのが、このパターンです。
会議中、こんな言葉が飛び交います。
- 「それは上に確認します」
- 「一度持ち帰ります」
- 「最終的には社長判断ですね」
この瞬間、その会議は「意思決定の場」ではなくなります。
誰が決めるのかが不明確なまま議論すると、参加者は無意識にブレーキを踏みます。
- 強い意見を言わない
- 責任のある発言を避ける
- 無難な選択肢だけを並べる
結果、会議は安全運転になります。つまり、何も決まらない。
これは当人たちの消極性ではありません。決定権の所在が構造上ぼやけているだけです。
理由③:決定の前提となる「制約条件」が共有されていない
三つ目は、少し見落とされがちな理由です。
会議では活発に意見が出ます。しかし、どこかで必ず止まります。
「予算的にはどの程度まで可能でしたっけ?」
「いつまでに決める必要があるんでしたっけ?」
「他の案件との兼ね合いはどうなってるんでしたっけ?」
つまり、決断するための制約条件が共有されていない状態で、会議が始まっている。
この場合、どれだけ議論しても結論は出ません。出せば、ただの理想論になります。
意思決定とは「無限の可能性から選ぶ」ことではなく、「限られた条件の中で線を引く行為」です。
条件が不明なら、線は引けません。
会議が悪いのではなく、「設計」が間違っている
ここまでの3つに共通しているのは、誰かが怠けているわけでも、能力が足りないわけでもない、という点です。
- 目的が曖昧
- 決定者が不在
- 制約条件が不明
このどれか一つでも欠けていれば、会議は必ず空転します。
それでも多くの組織では、「会議が長い」「結論が出ない」という現象だけが問題視されます。
しかし本当は、どの理由で決まっていないのかが、まだ特定されていないだけです。
その会議は、「決める会議」ではなかったのか。それとも「決められない構造」だったのか。
御社の会議がどのパターンに該当するか、構造として点検する必要があります。
会議の構造的問題について、現状を整理してみませんか。