COLUMNコラム記事

社長の「いい話」が、現場で静かに無効化される瞬間

社内イベントや全体会議で、社長が想いを込めて語られます。

「これからは、お客様にもっと寄り添おう」 「自分で考えて動ける組織にしたい」

会議室の空気は決して悪くありません。 うなずく方もいらっしゃいますし、拍手も起きます。

それなのに—— 翌週から、何も変わっていないということがあります。

誰かがサボっているわけでも、社長のお話が悪かったわけでもありません。

実はここには、よくある構造的なズレがございます。

よくある光景:「あの日の話、なかったことになる」

会議の場では、確かに「いい話」でした。 熱量もありましたし、空気も動きました。

ところが数時間後、Slackや議事録に残っているのは、

• 本日の決定事項
• ネクストアクション
• 担当者・期日

といった、無機質な要約だけだったりします。

想いやニュアンスは削ぎ落とされ、事務的なリストに変換されて、淡々と流れていきます。

現場のメンバーは、それを見て動きます。 結果、「あの日の話」は最初から存在しなかったかのように扱われます。

これは、珍しい話ではございません。

なぜ起きるのか:言葉が”解釈任せ”になっている

経営者の言葉は「抽象度が高い」

経営者が語られる言葉は、方向性・価値観・姿勢といった抽象度の高いものになりやすいものです。

それは決して悪いことではありません。 むしろ、経営の言葉としては正しいのです。

組織の「向き」を示すのが、経営者の役割だからです。

現場は「具体」がないと動けない

一方で、現場が必要としているのは、

• 今日、何を優先するのか
• どこまでやれば「OK」なのか
• 迷ったとき、何を基準に判断すればよいのか

といった、具体的な判断材料です。

ここに、溝が生まれます。

抽象のまま投げられた言葉を、現場がそれぞれの解釈で具体に変換する。

結果、同じ言葉を使っているのに、やっていることはバラバラになります。

起きているのは「伝達ミス」ではなく「設計ミス」

この状況を見て、「もっと分かりやすく話せばよい」と言われることがあります。

けれど、それは本質ではありません。

問題は、社長の話し方でも、現場の理解力でもありません。

言葉が”運用される前提”で設計されていないこと自体が問題なのです。

言葉は、「いいことを言えば伝わる」ものではありません。

組織の中でどう使われ、どの判断に影響し、どこまで拘束力を持つのか。

そこまで含めて設計されて、はじめて機能いたします。

ズレを防ぐために必要なのは、文章力ではない

ここで必要なのは、コピーのテクニックや表現力ではありません。

見直すべきなのは、その言葉がどのような役割を持っているのかという点です。

たとえば、
• その言葉は「何をしてよい/ダメ」を決めるものか
• 評価や判断に使われる言葉なのか
• 誰が使う前提の言葉なのか

こうした整理がされないまま、言葉だけが先行すると、必ずズレが起きます。

まず見直すべきなのは「社内で使われている言葉」

スローガン。 採用ページの表現。 会議で何度も繰り返されるキーワード。

それらが、実際の行動や判断とどう結びついているか。

いきなり全部を直す必要はございません。 ただ、一度立ち止まって、

「この言葉は、現場でどう使われているのだろう?」

と整理してみるだけでも、見えてくるものは多いはずです。

おわりに

社内コミュニケーションが噛み合わないとき、原因は個人にあるとは限りません。

多くの場合、言葉と運用の間にある”構造”に無理があります。

もし、自社の言葉がどう使われているのか分からなくなっていらっしゃるなら、一度、静かに整理してみる価値は、あるかもしれません。


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社長の想いが現場で活かされていない、部署ごとに言葉の使い方がバラバラになっている。 そのような状況から、実際に機能する言葉の体系を一緒に整理いたします。

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