COLUMNコラム記事

戦略が失敗する会社の会議には必ず3つの特徴がある

多くの会社で、次のようなことが起きています。

社長は言います。「戦略は決まった。あとは実行だ。」

しかし数ヶ月後、現場はほとんど何も変わっていません。

このとき経営者はこう考えます。「現場の実行力が弱い」

しかし実際には、多くの場合問題はそこではありません。戦略が失敗する理由は、もっと早い段階で起きています。

それは会議です。

戦略は「正しいのに」実行されない

企業の戦略の多くは、実はそれほど間違っていません。

例えば、DXを進める、ブランドを強化する、顧客体験を改善する、高付加価値商品へ移行する。どれも正しい方向性です。

しかし問題は、戦略から現場の間にある翻訳プロセスです。戦略はそのままでは現場の行動にはなりません。

戦略が失敗する本当の理由①で述べた通り、多くの組織には「翻訳機能」が実装されていません。

戦略は「会議」で死ぬ

戦略は社長の頭で生まれます。

しかし会社では、戦略は必ず会議を通過します。

社長→役員会議→部門会議→チーム会議

このとき起きるのが翻訳エラーです。

戦略は意味を失いながら組織の中を流れていきます。そして最終的には、よく分からないスローガンになります。

営業部長は「とにかく今月の数字を作るための戦術だ」と解釈し、開発部長は「新しいシステムを導入することだ」と解釈する。同じ「顧客価値の最大化」というスローガンを掲げながら、会議室を一歩出た瞬間、全員が全く違う山に登り始めます。

戦略が死ぬ会議の「3つの特徴」

多くの会社の会議には共通する特徴があります。

1. 抽象語のまま流れる

例えば、「顧客価値を高める」「ブランドを強化する」「デジタル化を進める」

こうした言葉は一見正しく聞こえます。

しかし、誰が何をいつやるのかが決まっていません。つまり、行動に変換されていないのです。

会議の最後に「みんな、頑張りましょう」で終わる。参加者は頷きながらも、明日から具体的に何をすればいいのかが分からない状態で会議室を後にします。

2. 部門ごとに意味が変わる

戦略が営業、マーケティング、開発それぞれの会議を通ると、部門ごとの解釈に変わります。

結果として、会社としての戦略ではなく、部門ごとの方針になります。これを戦略の分解事故と呼べます。

「お客様第一」という方針が、営業では「値引き対応の拡大」、マーケティングでは「広告予算の増額」、開発では「機能追加の加速」と、まったく違う施策に翻訳されてしまいます。

3. 「やめる設計」がない

そして最も多いのがこれです。戦略が決まると新しいことだけが増えます。

しかし、何をやめるのかが決まりません。すると現場は既存業務プラス新戦略を同時に抱えることになります。

結果、何も変わらないのです。

詳しくは戦略が失敗する本当の理由②──「やめる設計」が存在しないで解説していますが、やめる設計がない戦略は必ず現場で形骸化します。

会議の本当の役割

本来、会議の役割は戦略を議論することではありません。

本当の役割は戦略を翻訳することです。

つまり、言葉を構造、そして意思決定に変換することです。

しかし多くの会社では、この翻訳機能が存在していません。

その会議、意思決定が一つも生まれていない理由でも述べましたが、意思決定のない会議は時間の消費でしかありません。

必要なのは「編集機能」

ここで必要になるのが編集です。

編集とは言葉を整えることではありません。編集とは、意味を構造、そして意思決定に変換する仕事です。

つまり、会議の翻訳装置です。

「顧客価値を高める」という言葉を、「来月までにカスタマーサポートの初回対応時間を30分以内にする。担当:田中部長。予算:50万円」という具体的な意思決定に変換する。これが編集の役割です。

結論

戦略が失敗する理由は実行力不足ではありません。

本当の理由は翻訳装置がないからです。

戦略は言葉として生まれます。しかし組織を動かすには構造が必要です。

だからこそ文字を買うな。構造を買え。という結論になります。


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関連記事: 戦略が失敗する本当の理由①──なぜ、組織には「翻訳機能」が実装されないのか? – 翻訳機能の不在について解説
戦略が失敗する本当の理由②──「やめる設計」が存在しない – やめる設計の重要性について解説

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