優秀な企業ほど「組織の編集力」が弱い理由。 経営の意思を現場が形にする仕組みの作り方とは?
なぜ、社内で言っていることが人によってまったく違うのか。なぜ、経営の言葉と現場の行動は、いつまでもすれ違い続けるのか。なぜ、外注に依頼しても「うちの言葉じゃない」という感覚が消えないのか。
そしてなぜ、優秀な企業ほど、この問題が深刻になるのか。
私は編集・構成の現場で、何度もこの現象を見てきました。
業界に対する深い専門性がある。顧客理解は徹底している。熱量もある。社員のレベルも高い。
それなのに、組織として「言葉が揃わない」。
そして、発信すればするほど”バラバラのメッセージ”が積み重なり、ブランドは薄まっていく。優秀であるはずの企業ほど、発信の効率が上がらず、成果も伸び悩む。
この現象は、担当者のスキル不足でも、外注ライターの問題でもありません。
原因は「組織の編集力が機能していない」ことにあります。
※構成設計については COLUMN Vol.1「構成設計について」 で、編集判断については COLUMN Vol.2「AI時代の編集判断とは?」 で、意思決定については COLUMN Vol.3「編集は意思決定である」 で、構造的不全については COLUMN Vol.4「想いはあるのに言葉にならない理由」 で詳しく解説しています
CONTENTS
組織の編集力が弱い企業に共通する4つの症状
企業の発信が揃わないのは、偶然ではありません。症状には、必ず構造が存在します。
症状①:部署ごとに”正しさ”が違う
広報、事業部、営業、人事、経営陣。それぞれが自分の現場では正しいことを語っているのに、全体としては揃わない。
実際、部署横断の会議に同席すると、この「正しさの食い違い」が一番最初に表出します。
症状②:外注の成果物が「うちっぽくない」
優秀なライターに依頼しても、なぜか弱い。これは外注に渡している情報が「素材」であり「意思」ではないためです。
症状③:経営の言葉が現場で翻訳されない
経営者はビジョンや理念を語る。現場はKPIや評価軸で動く。
この2つを翻訳する”橋”が存在しない。
症状④:発信しているのに成果につながらない
• 採用が来ない
• 問い合わせが増えない
• 事例記事が刺さらない
• ブランドの一貫性がない
これは「表現の問題」ではなく、組織としての編集プロセスが欠けているという構造的問題です。
組織の編集力とは何か
COLUMN Vol.1〜4 では、構造・編集判断・意思決定・価値言語化という”個人の編集力”を扱いました。
Vol.5以降では、これを組織レベルに拡張します。
組織編集力の定義
組織の編集力=経営の意思 × 現場の判断 × 書き手の構造設計 × 全体最適のプロセス
つまり、企業のあらゆる発信活動を「意味のある言葉」に統合する力のことです。
これは個人や部署ごとのスキルではなく、組織全体で育てる能力です。
個人の編集力から組織の編集力へ
| 個人レベル | 組織レベル |
|---|---|
| 構造設計 | 社内言語の統一化 |
| 編集判断 | 判断基準の明文化・共有 |
| 意思決定 | 経営→現場の翻訳システム |
| 価値言語化 | 組織全体での価値統一 |
なぜ組織の編集力は育たないのか
優秀な企業ほど編集力が育たない理由は、次の3つの構造的断絶に集約されます。
断絶①:経営の言葉と現場の言葉が違う
経営は「未来」を語り、現場は「現在」を語る。このギャップを翻訳する役割が誰にも担われていない。
断絶②:判断基準が共有されていない
• 何を削るべきか
• 何を残すべきか
• どの順序で語るべきか
という判断が、個人に依存している。結果、人が変わるとメッセージが変わる。
断絶③:AI時代に必要な役割分担が曖昧
AIが文章を書くようになった今こそ必要なのは、「何を書くか」を決める組織の編集力。
しかし、このプロセス設計ができていない企業が圧倒的多数です。実際、AIを導入した企業ほど「役割分担の曖昧さ」が後から膨らみやすい印象があります。
組織編集力の構築ロードマップ
企業が編集力を組織レベルで構築するための5つのステップです。
STEP1:経営の意思を”翻訳可能な言葉”にする
理念・戦略・ビジョンを、現場が行動できる言葉に変換する。
特にSTEP1は、多くの企業で一番時間がかかります。私の支援でもここに最も工数がかかります。
具体的な作業: • 経営層の想いの言語化
• 価値の辞書作成
• 社内共通言語の定義
STEP2:社内の翻訳システムをつくる
経営 → 中間層 → 担当者——この流れを”1本の線”として繋ぐ。
具体的な作業: • 部署間の言語統一
• 翻訳プロセスの設計
• 情報伝達フローの可視化
STEP3:編集判断基準の明文化
削る基準、残す基準、語彙の基準を組織レベルで共有する。
具体的な作業: • 編集ガイドラインの策定
• 品質チェック基準の明文化
• 外注ディレクション基準の統一
STEP4:AI×人間の役割分担を最適化する
AIは生成、人間は意思決定と判断——という体制にする。
具体的な作業: • AI活用フローの設計
• 人間が担うべき判断領域の明確化
• 品質管理プロセスの構築
STEP5:継続改善の仕組みをつくる
発信するたびに組織の編集力が向上する”学習サイクル”をつくる。
具体的な作業: • 成果測定指標の設定
• 振り返りプロセスの制度化
• 組織学習の仕組み化
カラムーチョ伊地知の強み
組織編集力の構築支援
私はこれまで、企業の編集力不足を「個人のスキルの問題」として扱うのではなく、組織の構造的課題として捉え、改善してきました。
• 経営→現場の翻訳システム設計
• 社内言語の統一化支援
• 編集判断基準の策定
• 発信プロセスの設計
• AI×人間の役割分担最適化
• 継続学習の仕組み化
これらを統合し、「発信すればするほど強くなる組織」をつくることが目的です。
組織レベルでの編集技術指導
Vol.1〜4 で体系化した個人の編集技術を、組織全体で活用できるよう支援します。
構造的課題の診断から実装まで、一貫したアプローチで企業の発信力を根本から変革します。
対応できること
価値言語化・編集設計
• 企業の価値言語化
• 構成設計・編集判断支援
• 読者行動から逆算した構成作成
• 採用記事・BtoBコラムの編集・執筆
制作プロセス・外注ディレクション
• 編集判断基準の明確化
• 外注チームのディレクション
• AI活用を前提とした制作フロー設計
• 継続的な品質管理体制構築
組織編集力構築支援
• 経営→現場の翻訳システム設計
• 社内言語統一・共通言語づくり
• 編集判断基準の組織内明文化
• 長期的な発信力向上の仕組み化
実績
AIを活用しながら品質を保つ編集プロセスを設計。制作効率の向上と同時に、メッセージの一貫性を実現。
Webメディア運営
『ニソクノワラジ』編集長として50名以上を取材。話し手の「言葉にならない想い」を構造化し、読み手に届ける技術を確立。
より具体的な実績はWORKSページに掲載しています。
私が大切にしていること
組織が本来持っている価値は、必ず言葉にできます。そしてその言葉は、必ず行動に変わります。
問題はスキルではなく、構造です。構造を整えれば、企業は必ず強くなる。
経営の意思が、現場の行動に変換される。現場の言葉が、社会に届く言葉に整う。
その橋渡しこそが——組織編集力の仕事です。
お問い合わせ
企業の組織編集力構築、経営→現場の翻訳システム設計、AI時代の編集組織構築に関するご相談をお受けしています。
組織の構造的課題から実装支援まで、お気軽にお問い合わせください。
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経営の意思が、現場の行動に変換される。現場の言葉が、社会に届く言葉に整う。その橋渡しこそが、組織編集力の仕事である。